学生時代に強みを引き出して
社会人基礎力を身に着けて置くことを企業が望んでいる!
「自分はどんな人生を歩くのか?」「どんな仕事につくのか?果たしてやれるのか?」等、学生時代の不安は尽きないものです。昨今は作業レベルの仕事はどんどんデジタル化され、オフィスや工場では人間に代わってAIが大活躍する時代ですから、ますます「人間にしかできない仕事」が求められています。自分しかできないことを社会の中で活かすのは並大抵の事ではありません。しかし、どんなに時代が変化しようと自分しかできない自分の価値は必ずあるのです。どんな試練にも打ち勝ち壁を乗り越える「自分の強み」を学生時代に引き出し、ブレない自分を鍛えて置くことが大切だと、我々は考えています。
就職活動は「就職」が目的ではありません。むしろ、どういう思いで働き何をなすか?が重要です。とは言え、生きがいや働きがいはそう簡単に見つけることはできません。好きな会社に入り好きな仕事に就いたとしても、現実は厳しく打ちのめされることばかりです。「自分はどんな人間か?」と自分を探っていく時間を取るのは、社会人になってからでは難しいものです。だからこそ、自分を見つめる時間(自分の強みを発見する時間)を学業と並行して行うことは、生きがいや働きがいへの道しるべとなります。生きがいや働きがいを見つける学びを生涯続けていく基礎力を学生時代から取り組む教育機関が、これからは求められていると、我々は思っています。
2011年にスタートした学校広報ソーシャルメディア活用勉強会(通称GKB48)が、2016年8月29日に第4回となる教育カンファレンスを開催しました。テーマは「共感からコラボレーションへの飛躍 -10年後の教育環境をイメージして-」。11名の登壇者がそれぞれのテーマで、TED方式のインパクトあるプレゼンテーションを行いました。ルーマスのグループ会社「一般社団法人強みプロ育成協会」が聖学院大学で実施した“オンリーワン発見ゼミナール”の事例を紹介します。
これからの「教育」の話をしよう 3
教育改革 × 未来の教室 (NextPublishing) (日本語)
教育関係者が集まるソーシャルメディア上のグループ、学校広報ソーシャルメディア活用勉強会(略称:GKB48)が開催した第4回教育カンファレンスの内容を書籍化。「共感からコラボレーションへの飛躍-10年後の教育環境をイメージして」をテーマにしたこのカンファレンスから、世界的なオンライン教育サービス「MOOCS」の動きを福原美三氏が解説するのをはじめ、全10人のスピーチを採録。これからの人材を育てる「学びの場」を多用な視点で語ります。『これからの「教育」の話をしよう ~教育改革×ソーシャルの力』『これからの「教育」の話をしよう2 ~教育改革×ICT力』に続く教育改革論、待望の第3弾です。
「動けない学生」の社会化に向けて
「強み」とは、周囲の人から見た自分の魅力であり、その人の本質の部分です。
自分で自分の「強み」に気づいている人はほとんどいません。その人の「らしさ」や「持ち味」は周囲の人が感じるものなので、自分では非常に気づきにくいのです。
おそらく、世の中では100人中3人くらいの人しか自分の強みに気づいていません。3人は自分の「強み」を知っているから活躍しています。
では、なぜ多くの人は自分の強みに気づかないのでしょうか?
それは周囲の人に「自分の良いところを見せたい」という心理が働くからです。
「自分の良いところを見せたい」と思えば思うほど、私たちは自分の本質にフタをしてしまいます。その結果、周囲の人は「そんなこと期待していないのに…」と感じ、自分から離れていってしまいます。
自分の強みをもとに、失敗しながら行動をしていくと、自然に周囲の人が自分に近づいてきます。
「強み引き出し」を通じてそんな人たちを増やし、日本を元気にしていくことが私たちのミッションです。
「強み引き出し」実施の背景
~労働力人口の減少と、社会による学生の取り合い激化~
周知のとおり、出生率は年々減少しています。
また、厚生労働省の厚生労働の基礎的資料では2030年の労働力人口(15歳~59歳)は、2012年に比較して448万人間性すると予測しています。
今後、労働力人口が減少していく中、社会全体が「優秀な学生」を取り合うことになります。しかし「優秀な学生」の数は限られています。不足する労働力人口を確保するためには、いわゆる「優秀な学生」あるいは「標準的な学生」と言われている学生以外に目を向けていかざるを得ません。
「強み引き出し」の目的
~学生の「社会化」に向けて、一歩踏み出すために関わっていきます~
学生の多くは大学を卒業してから社会人となります。社会人としての規範や行動を身に着け、準備をすることを「社会化」といいます。「優秀な学生」「標準的な学生」は次第に社会化をしていく一方で、「動けない学生」の社会化に向けて、どのように取り組むかが喫緊の課題です。
「動けない学生」が一歩踏み出せずにいるのは、理由があります。この現実を真摯に受け止め、彼らの社会化に向けて一歩踏み出せるように我々が関わっていくことが「強み引き出し」の目的です。
「強み引き出し」の役割
「強み引き出し」は、1年間で6つのステップをモチーフに提供します。
「強み引き出し」では、まず一人ひとりの強みを引き出すことで、自分の本来の魅力や持ち味に気づかせ個々の自信を取り戻します。また、周囲の人や教授・職員、チームの強みを認めさせることで、組織の方針に従いつつ一歩踏み出すための勇気のスイッチを押す支援をします。さらに、小さな失敗を恐れずに行動を繰り返してもらうことで、仲間と協力し合いながら目標達成できる人材を育成します。
実施風景
最初は100名を超える学生が参加していました。徐々に参加する学生が絞られていき、行動する、続ける、諦めない学生に集約されていきます。
新年度を迎えると、先輩が後輩を誘い合って参加します。先輩のリードで後輩の強みを引き出します。
学生一人ひとりの強みを我々が学生と一緒に引き出します。同様に社会人ゲストの強みも引き出しながら、社会人との関わりを体験していきます。
毎回、グループディスカッションや様々なワークショップを行い、チーム力を高めていきます。
毎年の最終回、1年間を通して行動した経験が学生に自信を取り戻させます。ゼミ修了後は学生が主体となって春休みのイベントを企画することが恒例になりました。
参加者の声
プロジェクトメンバー所感
強み引き出しを始めたころは、目を見て話せない、人の話が聴けない、自分のことしか話さない、落ち着きがない、空気が読めないといった学生たちを見て、正直「この子たちは大丈夫だろうか?」と強く感じ、私自身がそうした学生とどう向き合えばいいのか不安を覚えました。参加していた学生たちはいろいろな葛藤を抱えていました。過去のいじめ、障がい、親との関係、友だちとの関係など、私が想像している以上にそのことが彼らを停滞させていた(苦しめていた)ように思います。自分自身に自信が持てない、でも一歩は踏み出したい、そんな学生がずっと参加していました。それは、三井氏をはじめ大学関係者の関わりが非常に大きかったように思います。
学生は、肯定的に受け入れてくれ、いつも本気で向き合ってくれる三井氏を心から信頼していました。だからこそ、素直に自分の強みを見つめはじめ、弱さも含めてありのままの自分を受け入れ、一歩踏み出していく(友だちを作る、アルバイトを始める、悩みを相談してくれる、就職が決まる)ようになったのではないでしょうか。私もそんな学生たちの姿を見て、何度も目頭が熱くなりました。また、強み引き出しでは学生から学んだこと、気づかされたことが数多くありました。強み引き出しに参加するメンバーはとても純粋です。純粋が故に大人たちのことをよく観察して、こちら(大人)が壁を作っていると、それはそのまま学生たちに伝わっていました。学生たちと向き合うためには、私自身が心を開いて自然体で関わらなければならないと気づかされました。
そして、強み引き出しは多くの社会人にもゲストとして参加いただきました。これは、大学の講座では学ぶことのできない貴重な経験となったのではないかと思います。「多くの大人が関わること!」そのことも強み引き出しの魅力の一つだったと思います。
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